目次
はじめに
こんにちは、東京都江戸川区船堀に事務所を構える司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一(@kirigayajun)です。
前回まで相続税・贈与税の宅地評価・株式の評価についての概略を紹介しました。
今回は事業承継の概略を紹介します。
このブログを読む前、読んだ後に前回の記事も合わせてご覧になると理解が進みます。
ぜひ「あわせて読みたい」から前回のブログをお読みください。
今回もFP2級の試験範囲での紹介にとどめますので、詳しく知りたい方は、税理士に相談してください。
この本では、FP試験に必要な知識だけでなく、実際に役立つファイナンシャルプランニングの技術についても学べます。
事業承継とは?
そもそも「事業承継」って何?というところから始めていきます。
副業や個人事業主からの法人成りの人も「事業承継」は「相続」と並ぶ大事な要素となります。
事業承継は、企業の創業者や現経営者が引退または死亡した際に、事業をスムーズに次の世代に引き継ぐための計画です。
このプロセスには、経営権の移譲や財産の承継が含まれ、適切に行われないと企業の存続自体が危うくなります。
簡単に書けば「事業承継」は個人でいうところの「相続」とほぼ同じですが、会社の場合は、経営者の交代、株価対策、周りの環境など相続とは比べ物にならないことを考慮にいれる必要があります。
経営者個人の相続対策 節税対策
事業承継の前に考慮すべき重要な要素は、節税対策です。特に以下の点が有効です。
ただ、節税ばかりに気を取られ、肝心な相続人のココロの問題をおろそかにしてはいけません。
不動産の購入
不動産の相続税評価額は市場価値よりも低いため、資産を不動産形態で保有することで、相続税を抑えることが可能です。
生命保険の加入
生命保険金は相続税の計算から除外されることが多く、大きな節税効果が期待できます。
生前贈与
生前に財産を贈与することで、相続時の財産を減らし、相続税を節約することができます。
事業承継のための具体的な対策
事業承継計画を立てる際には、以下の戦略が考えられます:
株価の引き下げ
役員退職金の支給や無配当・低配当の策を用いることで、株価を下げ、相続税負担を軽減します。
株価の評価については「あわせて読みたい」の「株式評価ガイド:相続税と事業承継のための戦略を司法書士・行政書士が紹介」を御覧ください。
株式数対策
事業の後継者に株式を贈与し、経営権の移行を確実に行います。
これにより、後継者の経営権が安定し、会社の未来が保証されます。
納税資金対策
生命保険への加入や資産の売却を通じて、相続税の納税資金を確保します。
納税猶予制度の活用
非上場株式に関する贈与税や相続税の納税猶予制度は、事業承継計画の中で非常に重要な位置を占めます。
この制度は、経営の安定と事業の持続を目的として設けられており、後継者がスムーズに経営を引き継げるように支援します。
制度の概要
納税猶予制度は、非上場会社の株式を承継することにより発生する贈与税や相続税の支払いを一定期間、猶予するものです。
この制度を利用するためには、後継者が都道府県知事の認定を受ける必要があります。
認定を受けるには、後継者が会社の実質的な経営を継承する意思と能力があること、そして企業が地域経済や特定の業界において重要な役割を果たしていることなど、一定の条件を満たす必要があります。
猶予の条件と効果
認定を受けた後継者が、贈与や相続により非上場株式を取得した場合、その株式に対する贈与税や相続税の全額または一部が猶予されます。
この猶予は、後継者が会社を安定して運営し、さらに成長させるために必要な時間と資金を確保するために非常に役立ちます。
特に、資金繰りに課題を抱える中小企業にとっては、財政的な負担が軽減されることから、大きなメリットとなります。
まとめ
事業承継を考えるときは、個人の相続、会社の相続両方の側面から考える必要があります。
更には経営対策や節税対策、納税対策も同時に検討する必要があります。
また非上場株式等の贈与税・相続税の納税猶予制度はなかなか自分でするのは難しいです。
ぜひ税理士や他の士業と連携して事業承継対策は考えたほうがいいです。
「法務」部分は司法書士、「税務」は税理士等とタッグを組みながらされることをおすすめします。
国税庁の「事業承継税制」のHPもあわせて確認してください。
「事業承継税制特集」(国税庁HP)
今回は
『次世代にバトンを渡す方法:経営者のための事業承継ガイドを江戸川区の司法書士・行政書士が解説』
に関する内容でした。
当事務所のウェブサイトをチェック
「司法書士・行政書士きりがや事務所」
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相続に関するブログはこちら
「小規模宅地の特例とは?相続税を抑えるポイントを司法書士が解説」
「株式評価ガイド:相続税と事業承継のための戦略を司法書士・行政書士が紹介」
「相続税や贈与税を計算する際の評価:宅地や株式以外の評価は?」