会社の株を譲渡したので登記したいのですが・・・
ひとり会社設立や小さい会社の企業法務・相続専門 司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一(@kirigayajun)です。
目次
はじめに
先日、株式の一部を他の株主に譲渡しました。
株式譲渡に関する登記をお願いしたいのですが、どうすればいいですか?
ある経営者から質問がありました。
株式の譲渡は、中小企業でも事業承継対策などである案件です。
では、株式を譲渡する手続はどのようにすればいいのでしょうか?
株式を譲渡したときに、何か登記をする必要はあるのでしょうか?
今回は株式譲渡のことについて書きます。
会社の株を譲渡したので登記したいのですが・・・ 商業登記実務日記
株式や株主は登記事項か?
会社設立の際、発起人は定款もしくは払込後の発起人の決定により、引受株式数が決まります。
引き受けた株式については「発行済株式総数」として登記されます。
しかし、「株主」は登記事項とされていません。
ただし、株主名簿を会社に備えておく必要があります。
株主名簿の記載事項は会社法第121条に定めがあります。
第121条
株式会社は、株主名簿を作成し、これに次に掲げる事項(以下「株主名簿記載事項」という。)を記載し、又は記録しなければならない。
-
一 株主の氏名又は名称及び住所
二 前号の株主の有する株式の数(種類株式発行会社にあっては、株式の種類及び種類ごとの数)
三 第一号の株主が株式を取得した日
四 株式会社が株券発行会社である場合には、第二号の株式(株券が発行されているものに限る。)に係る株券の番号
株式を譲渡した時何か登記が必要?
会社設立後、何らかの事情により株式を譲渡した場合、何か登記しなければ行けないのでしょうか?
中小企業の場合は、株式を譲渡する前提として定款にて株式譲渡制限を設けているので、株主総会なり定款に記載された承認機関で株式の譲渡を承認する必要があります。
承認決議を経て、株式を実際に譲渡した場合、株式に関する登記をする必要があるのか?
結論は譲渡しても、発行済株式総数が増えないため登記は何もしなくていいです。
発行済株式を登記をしなければならないときは、募集株式で新たに株式を発行した場合です。
その時は、発行済株式総数が増加するため、株式数をを変える必要があります。
株式を譲渡した時 当事者間で会社に何か請求する必要があるか?
株式を譲渡したということは、当事者間の株式数が変更したり、新たに株主が加入するため、会社もそれを把握する必要があります。
事前に株主総会等で株式の承認決議をしていても実際に株式を譲渡したかどうかまでは会社は分かりません。
なので、当事者間で会社に備え付けてある株主名簿を書き換える旨を請求する必要があります。
そうしないと、会社はいつまでたっても株主名簿に記載してある内容で扱わなければならないからです。
新たに株主になった方は、いつまでも名義を変えないままでいると会社から利益配当を受けたり、株主総会で議決権を行使できなかったりします。
なので、株式を譲渡した場合は速やかに会社に対して名義書換を請求しましょう。
会社も株主名簿を把握する必要がある理由は?
株主の名義書換をすることで、最新の株主の状況を会社は把握することができます。
さらに、会社にとって株主名簿が重要な要素を持つことになりました。
それが「株主リスト」です。
株主総会で登記すべき事項に関する内容、例えば、募集株式の発行や役員改選の決議をしたとき、登記の申請書に「株主リスト」が必要となります。
株主リストは株主名簿で把握している内容で株主リストに記載すべき要件に合わせ作成します。
株主リストを作成するためにも株主名簿が重要になるのです。
まとめ
株主が株主を譲渡したり、新たに株主がでてきた場合は、会社に対し株主名簿の書換えをする必要があります。
登記で株主リストを添付する必要があるため、株主名簿はますます重要なものになります。
今回は
『会社の株を譲渡したので登記したいのですがどうすればいいですか?[小さな会社の企業法務] 』
に関する内容でした。
お知らせ
下記内容のDVD・CDが発売されました。
企業法務に携わる先生方にオススメです!
(9月の最新ベストランキング第2位になりました!)
平成27・28年施行 改正会社法・商業登記規則 役員変更登記の注意点
参考書籍
中小企業における株式管理の実務 | ||||
|
改訂版 これ1冊でOK! 中小企業の株式実務 | ||||
|