こんにちは、東京都江戸川区船堀に事務所を構える「相続」に特化した事務所、司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一(@kirijunshoshi)です。
目次
はじめに:後見制度、活用されていますか?
日本では高齢化が進み、認知症を患う方の数も年々増加しています。
それにもかかわらず、「成年後見制度」は個人的には正直思ったほど利用されていないと感じています。
なかでも「法定後見制度」は制度としては存在しているものの、現場で活用されているとは言いがたいのが現実です。
では、なぜ使われないのか?
そして、「任意後見制度」や「家族信託」がなぜ相続対策として注目されているのか?
江戸川区の司法書士が、現場の実感をもとにわかりやすく解説します。
法定後見制度が浸透しない3つの理由
① 家庭裁判所の手続きが煩雑で時間がかかる
法定後見は、本人の判断能力がすでに失われてから利用する制度です。
申立てには医師の診断書や財産の目録など多くの書類が必要で、開始までに数ヶ月かかるケースも少なくありません。
② 財産管理の自由度が制限される
法定後見では、家庭裁判所が選任した後見人が本人の財産を管理します。
しかし、家庭裁判所の監督下での管理となるため、不動産の売却や大きな出費には都度許可が必要になり、家族にとって負担が大きくなりがちです。
家族にとっては不便な制度=法定後見と思われているのも原因かもしれません。
これが一生続くので、家族にとっても使いにくい制度であると感じているのも要因かも。
③ 本人の希望が反映されにくい
制度上、法定後見では「誰が後見人になるか」は家庭裁判所が決めます。
たとえ親族が申立てをしても、司法書士や弁護士などの第三者が選ばれることも多く、「家族で支えたい」という希望が通らないケースもあります。
家族自身が後見人になれず第三者が入ってくることに抵抗を感じている家族も多いでしょう。
任意後見制度:元気なうちにできる相続対策
任意後見は「判断能力があるうち」に契約する制度
任意後見は、本人が元気なうちに信頼できる人(例:子どもや配偶者)と契約し、将来の判断能力低下に備える制度です。
法定後見と異なり、誰に・どのような支援をしてほしいかを契約で決められるのが最大のメリット。
「生活のサポートは子どもに、不動産管理は専門家に」といった柔軟な組み合わせも可能です。
家庭裁判所の審判で「発効」される安心感
任意後見契約は、公正証書で作成した後、実際に本人の判断能力が低下したタイミングで家庭裁判所が「後見監督人」を選任し、契約が発効します。
よって、契約だけで勝手に財産を動かされるリスクはなく、安全性も高いといえます。
家族信託と組み合わせて、さらに強力に
近年、任意後見制度と並んで注目されているのが「家族信託」です。
こちらも本人が元気なうちに財産管理を「信頼できる人」に任せる制度ですが、契約が成立した時点から効力が発生するのがポイントです。
家族信託でできること
- 
実家の管理・売却
 - 
預金の管理・支払い
 - 
障害のある子どもへの資産継承
 - 
空き家・空き地の活用 など
 
家族信託は、相続前から財産管理を柔軟に行えるため、任意後見ではカバーしきれない場面でも力を発揮します。
江戸川区でも相談が増えています
私の事務所(江戸川区船堀)にも、相談が増えています。
親が高齢になってきたけれど、まだ元気なうちに準備したい
将来、相続でもめたくない
自宅が空き家になりそうで心配
とくにおひとり様や、親族との距離感があるご家庭では、任意後見や家族信託を早めに活用することがトラブル回避のカギになります。
専門家に相談するタイミングとは?
「まだ親も元気だから大丈夫」
「よくわからないから後で考えよう」
そう思っているうちに、判断能力が低下してしまえば「任意後見」や「家族信託」は使えません。
これらは、「元気なうちにしかできない」制度なのです。
思い立った今がベストタイミングです。
まとめ:相続対策は「早めの準備」がカギ
| 制度名 | 活用タイミング | 主な用途 | 特徴 | 
| 法定後見 | 認知症などで判断力喪失後 | 財産保全・生活支援 | 家裁の監督下/制限多い | 
| 任意後見 | 元気なうちに契約 → 判断力喪失後に発効 | 生活支援・金銭管理 | 自分で後見人を指定できる | 
| 家族信託 | 元気なうちに契約・即効力あり | 不動産・資産管理 | 契約自由度が高く柔軟 | 
相続トラブルを防ぎ、「自分らしく生きる」ための仕組みを、今こそ考えましょう。
江戸川区で後見や信託のご相談は、地元密着の司法書士にお気軽にご相談ください。

					