こんにちは、東京都江戸川区船堀に事務所を構える「相続」に特化した事務所、司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一(@kirijunshoshi)です。
目次
はじめに
最近、「不動産を相続すると相続税がかかるのではないか」と心配している方からのご相談が増えています。
実際、私の事務所にも「この不動産はいくらくらいの評価になるのか?」「相続税は発生するのか?」というお問い合わせが寄せられます。
しかし、ここで大切なのは、司法書士は相続税の計算や税額の判断をする立場にないという点です。
相続税に関する正確なアドバイスは、税理士の専門領域になります。
では司法書士として、相続手続きをお手伝いする中で、相続税に関してどのように関わることができるのか。
本記事ではその点をわかりやすくご紹介します。
相続税と不動産の関係
まず、相続税の仕組みを簡単に整理してみましょう。
相続税は、相続によって受け取った財産が基礎控除額を超える場合に課税されます。
基礎控除の計算式は次のとおりです。
3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数
たとえば、相続人が配偶者と子ども2人の合計3人なら、基礎控除額は4,800万円となります。
つまり、遺産総額が4,800万円以下であれば相続税はかかりません。
不動産は、相続財産の中で特に評価額が大きくなりやすい財産です。
そのため「うちは相続税がかかるのではないか」と心配になる方が多いのです。
司法書士が伝えられること
司法書士は相続税額を算出することはできませんが、次のような情報を提供することで、依頼者の不安を和らげることができます。
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不動産以外の財産も含めた全体像を確認する大切さ
預貯金や株式、保険金なども含めて遺産総額を把握することが重要です。不動産だけで判断してしまうと誤解を招く恐れがあります。 -
不動産評価額の目安となる指標があること
路線価や固定資産税評価額は、相続税評価の参考になります。これらは国税庁や市区町村から公開されているので、一般の方でも確認が可能です。 -
税理士に相談するタイミングを明確に伝えること
遺産総額が基礎控除を超えるかどうか不安な場合は、早めに税理士に相談するようお伝えします。特に不動産を複数所有している場合や、都心部の不動産を持っている場合は注意が必要です。
相続登記と相続税は別の手続き
ここで強調したいのは、相続登記と相続税の申告は別の手続きであるという点です。
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相続登記:法務局に対して、不動産の名義を相続人に移す手続き。司法書士の専門分野です。
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相続税申告:税務署に対して、遺産総額や税額を申告・納税する手続き。税理士の専門分野です。
両者は密接に関わっていますが、管轄も担当する専門家も異なります。
そのため、依頼者の立場からすると「登記を済ませたから税金の心配も不要」というわけではありません。
逆に、税務申告をしても登記を放置していれば、不動産の名義変更は進みません。
よくある誤解と注意点
1. 「登記費用=相続税」と思ってしまう
相続登記にかかる登録免許税や司法書士報酬は、相続税とはまったく別物です。
登記費用を払ったからといって相続税の問題が解決するわけではありません。
2. 「不動産があると必ず相続税がかかる」
実際には、基礎控除額を超えなければ相続税はかかりません。
地方の土地やマンション一室などでは、税金が発生しないケースも少なくありません。
3. 「相続税がかかるなら登記しなくてもいい」
税金の有無にかかわらず、相続登記は法律上の義務です。
2024年4月から相続登記の義務化が始まり、相続開始から3年以内に登記をしなければ過料が科される可能性があります。
司法書士にできるサポート
司法書士は税額を答えることはできませんが、相続税が心配な方に対して次のようなサポートを提供できます。
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不動産を含めた相続財産の洗い出し(一覧表作成)
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相続人関係を明確にする戸籍収集や相関図作成
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登記のための必要書類の準備と申請手続き
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税理士など他の専門家への橋渡し
つまり、司法書士は「財産の全体像を整理して、税理士へスムーズにバトンタッチする」役割を担っています。

まとめ
相続税は誰にとっても気になる問題ですが、司法書士が直接答えられるものではありません。
ただし、相続登記を通じて財産の全体像を整理し、必要に応じて税理士と連携することで、依頼者の不安を大きく減らすことは可能です。
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不動産の評価は路線価や固定資産税評価額を参考にできる
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基礎控除額を超えるかどうかが相続税のポイント
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相続登記と相続税申告は別の手続きであり、それぞれ専門家が異なる
江戸川区で相続や不動産の名義変更にお悩みの方は、まずは司法書士にご相談ください。
手続きの流れを整理しながら、必要に応じて税理士とも連携し、安心できる相続を実現するお手伝いをいたします。
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