親が認知症になると相続登記はできない?成年後見と家族信託の違いを江戸川区船堀の司法書士・行政書士が解説

こんにちは、東京都江戸川区船堀に事務所を構える「相続」に特化した事務所、司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一(@kirijunshoshi)です。

はじめに|親の認知症で相続登記ができなくなる!?

親の判断力が低下してきたけど、まだ大丈夫だろう

認知症になったら相続はどうなるの?

相続といえば「遺言書」の重要性がよく語られます。

ところで、親が認知症になった後では、相続登記はもちろん、不動産の売却や管理ができなくなることをご存知ですか?

「成年後見制度」や「家族信託」という方法を使えば、認知症になっても財産を適切に管理できます。

しかし、それぞれの制度には大きな違いがあり、どちらを選ぶべきかで相続の手続きが変わってきます。

この記事では、親が認知症になると相続登記にどんな影響があるのか、成年後見制度と家族信託の違い、そしてどちらを選ぶべきかを司法書士目線で解説します。

1. 認知症になった後では、相続登記どころか不動産の売却もできない!

「親が亡くなったら、すぐに相続登記をすればいい」と思っていませんか?

実は、親が生きている間に認知症になってしまうと、不動産の名義変更や売却ができなくなる可能性があります。

なぜなら、売却や登記変更の手続きには「本人の意思確認」が必要だからです。

📌 認知症になった後に起こる問題

✅ 不動産の売却ができない(契約行為ができなくなる)
✅ 預金の引き出しも制限される(口座凍結の可能性)
✅ 相続時に遺産分割協議ができない(判断能力が求められる)

つまり、親が認知症になった時点で、財産の管理が完全にストップしてしまうのです。

では、こうした事態を防ぐにはどうすればいいのでしょうか?

2. 成年後見制度と家族信託、どちらを選ぶべき?

認知症になった後でも財産を管理する方法として、「成年後見制度」と「家族信託」があります。

しかし、この2つは仕組みが異なり、どちらを選ぶかで今後の対応が変わってきます。

(1) 成年後見制度とは?

成年後見制度は、認知症になった後に家庭裁判所が「後見人」を選び、本人の財産を管理する制度です。

📌 成年後見制度の特徴

✅ 認知症になった後でも利用できる(事後対応が可能)
✅ 後見人が財産を管理・手続きを代行する
✅ 裁判所の監督下で厳格に管理される

しかし、成年後見制度にはデメリットも多いです。

🔹 成年後見制度のデメリット

❌ 本人が自由に財産を処分できない(家庭裁判所の許可が必要)
❌ 後見人を一度選ぶと原則として変更できない
❌ 後見制度が続く限り、専門家報酬がかかる(司法書士や弁護士に依頼すると月額2~5万円程度 裁判所が決定する)

つまり、「認知症になった後でも対応できるが、財産の自由度がかなり制限される」というのが成年後見制度のポイントです。

(2) 家族信託とは?

家族信託は、認知症になる前に「家族に財産を管理する権限を託す」方法です。

最近、一般の方にも「家族信託」が浸透し、私の事務所でも問い合わせが来ています。

📌 家族信託の特徴

✅ 認知症になる前に契約を結ぶ(事前の対策が必要)
✅ 信頼できる家族が財産を管理できる
✅ 不動産の売却や預金管理もスムーズにできる

成年後見制度と違い、家族信託では家庭裁判所の監督が不要なため、財産を自由に運用しやすいのが大きなメリットです。

🔹 家族信託のデメリット

❌ 認知症になった後では利用できない(事前の契約が必須)
❌ 契約書の作成や登記費用がかかる(10万~50万円程度)

つまり、「事前の対策が必要だが、成年後見よりも自由に財産を管理できる」というのが家族信託の特徴です。

3. 司法書士ができるサポートと、早めに準備するメリット

では、どちらの制度を選ぶべきなのでしょうか?

📌 こんな人は「成年後見制度」

✅ すでに親が認知症になっている
✅ 今すぐ財産を管理する必要がある

📌 こんな人は「家族信託」

✅ まだ親が元気で判断能力がある
✅ 将来の認知症に備えたい
✅ 自由に財産管理をしたい

家族信託は認知症になる前にしか利用できないため、まだ間に合ううちに準備しておくことが重要です。

司法書士ができるサポート

司法書士は、相続登記の専門家として、認知症になる前の対策をサポートします。

✅ 家族信託契約の作成サポート
✅ 成年後見制度の申し立て手続き
✅ 相続登記の相談・手続き

「うちの親もそろそろ心配かも…」と思ったら、早めに専門家に相談することで、スムーズに相続準備を進められます。

まとめ|認知症になる前に「家族信託」で早めの対策を!

親が認知症になってしまうと、相続登記はもちろん、不動産の売却や預金の引き出しもスムーズにできなくなります。

✅ 認知症になった後に対応するなら「成年後見制度」(ただし、裁判所の監督あり)
✅ 認知症になる前に準備するなら「家族信託」(財産の自由度が高い)

「まだ大丈夫」と思っているうちに、家族信託などの準備を進めておくことが重要です。

もし、「どちらを選べばいいかわからない…」と迷っている場合は、司法書士に相談することで、最適な方法を提案できます。

早めの対策が、家族の安心につながります。今のうちに、しっかり準備しておきましょう!

江戸川区で相続手続きを検討中の方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

今回は
『親が認知症になると相続登記はできない?成年後見と家族信託の違いを解説』
に関する内容でした。

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この記事を書いた人

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司法書士・行政書士 桐ケ谷 淳一

鉄道(乗り鉄・撮り鉄両方)と麻婆豆腐・担々麺をこよなく愛する司法書士・行政書士です。
ひとり会社設立、副業・複業、小さな会社の企業法務の分野を得意としています。
1977年1月 東京生まれ東京育ち
2000年 日本大学法学部法律学科卒業
2004年 司法書士試験合格
2005年 行政書士試験合格
2007年 東京都江戸川区葛西駅前にて司法書士事務所・行政書士事務所を開業
2017年 平成27・28年施行改正会社法・商業登記規則、役員変更登記の注意点(株式会社レガシィから)のCD・DVDを出しました。