目次
はじめに
こんにちは、東京都江戸川区船堀に事務所を構える司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一(@kirigayajun)です。
今回も最後までお読みいただけると幸いです。
今回は、ひとり株式会社の代表者が亡くなり、相続人が会社を継がない場合、相続人が会社をたたむにはどうするかを紹介します。
会社をやむを得なくたたむ場合どうするか?
株式会社や特例有限会社で後継者がいない場合、やむを得ず会社をたたむことがあります。
その際の手順について説明します。
まずは株主総会の開催。
相続人が株主となるため、相続人全員の同意で開催します。
そのうえで、会社の解散決議を行います。
代表取締役が亡くなっているため、株主総会で取締役の選任決議も必要かという議論があります。
私は亡くなった後も会社が実働していたと考え、取締役の選任決議をしてから解散決議をし、清算人の選任を行うことを推奨します。
清算人は誰がなるのか?
解散決議とともに清算人選任の決議も行います。
清算人は株主総会で選任され、取締役でない人も選任可能です。
そのため、相続人のうちの誰かが清算人となり、清算事務を行うことが一般的です。
もし清算人が選任されなければ、取締役が自動的に法定清算人となります。
したがって、ひとり株式会社の取締役が死亡した場合は、解散決議をする株主総会で取締役を選任しないと登記ができないと感じています。
解散・清算人選任登記をする
そのうえで、「解散・清算人選任」の登記申請を法務局に行います。
申請のときに「定款」が必要になるのと、新たに「清算人」の印鑑届書が必要になるので注意してください。
さらに株主総会決議を行ったので、株主総会議事録と株主リストが必要です。
そして清算人の就任承諾書を用意して登記申請を行います。
登録免許税は、39,000円となります。
清算事務手続き:解散公告をする
解散することが決まったら「解散公告」をします。
公告は定款に記載してある方法で行いますが、多くの会社が「官報」にしていますので、官報で公告をする場合を紹介します。
まずは、官報販売所(ネットで検索)にて解散公告の掲載を申出ます。
官報販売所では原稿を受取り、問題ないようであれば、掲載準備に入ります。
申込みをしてもすぐには掲載されず、解散公告は号外発表のため、申込みから14日はかかります。
なので、解散日が決まっていたら逆算して掲載日を決めて官報販売所に申し込みをすることをおすすめします。
解散公告の費用はおよそ4万円前後と考えてください。(行数により異なります。)
詳しくは利用される官報販売所にお尋ねください。
解散決議をしてもすぐには会社はたためない
解散決議をした後、会社は清算事務に入り、会社をたたむための準備を行います。
債権債務をすべて清算し、その上で清算結了して会社をたたむことになります。
解散公告をしてから2ヶ月を経過しないと清算結了の登記は受理されません。
さらに、代表取締役が会社に貸付をしていた場合、その貸付金は相続財産として評価されるため、相続税の問題も絡んでくるので、税理士に確認することが重要です。
清算事務が赤字になる場合は破産手続きとなり、弁護士に対処してもらうことも検討してください。
会社の価値や財務状況を確認することは相続人にとって重要な役割です。
清算事務:清算結了決議&清算結了登記
解散公告から2ヶ月が経過し、清算事務も終わったら、株主総会を開催し、清算事務報告の承認決議をします。
その後、清算結了の登記を申請します。
登録免許税は2,000円。
添付書面は清算事務を決議した株主総会議事録と清算事務報告書、株主リストとなります。
解散から清算までの流れの確認
株主総会で解散・清算人選任決議
↓
解散公告(官報等、官報販売所で掲載。申し込みから14日かかる)
↓
清算事務(公告から2ヶ月)
↓
株主総会で清算事務報告
↓
清算結了の登記
まとめ
ひとり株式会社で後継者がいない場合、会社をたたむ必要があります。
相続人がこの作業を行うことになりますが、放置すると12年後にみなし解散の通知が届き、過料のリスクがあります。
ひとり株式会社の相続対策として、会社の処理も重要な要素となります。。
不明点があれば、司法書士にご相談ください。
今回の内容が、皆様にとって少しでもお役に立てば幸いです。
詳細やお問い合わせは、当事務所までどうぞ。
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今回は
『ひとり株式会社の相続に備える:会社をたたむときに注意することは?司法書士のアドバイス』
に関する内容でした。
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