目次
はじめに
こんにちは、東京都江戸川区船堀に事務所を構える司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一(@kirigayajun)です。
今回も最後までぜひお読みください。
今回は、配偶者居住権の概略と登記手続きについて紹介します。
配偶者居住権って何?
「配偶者居住権」とは、配偶者(内縁者は含まない)が、被相続人の財産に属した建物に相続開始時に居住していた場合(生活の本拠としていた場合)、特定の要件に該当する場合に、その建物を無償で使用・収益する権利のことをいいます。
例えば、配偶者と子がいて、被相続人名義の不動産があった場合、子がその建物を承継し、配偶者がそのまま住むことも考えられます。
しかし、不動産の所有者が子であるため、子はいつでも配偶者に退去を求めることができ、配偶者は落ち着いて生活できません。
また、不動産を配偶者名義にすると、相続人の遺産に自宅不動産が含まれている場合、法定相続分を考慮して相続の割合を決定することが多いです。
その場合、配偶者が自宅を相続した結果、取得できる金銭債権(お金や株式など)が相対的に少なくなってしまい、生活の基盤が脅かされる懸念がありました。
そこで、配偶者居住権を設定することで、建物が子の名義であっても、配偶者は安心して住むことができ、生活の安定につながります。
配偶者居住権の取得の要件
「配偶者居住権」の取得要件は以下の通りです
- 遺産分割により配偶者居住権を取得することが決定された場合
- 配偶者居住権が遺贈の目的とされた場合
- 配偶者居住権を取得させる旨の死因贈与契約があった場合
- 家庭裁判所の審判により配偶者居住権を取得することが決定された場合
なお、配偶者居住権を第三者に対抗するためには登記が必要です。
配偶者居住権の登記
配偶者居住権の登記を行う前提として、不動産が被相続人名義のままである場合、まず相続登記が必要です。
その後、配偶者居住権の登記を行います。
ここでは、遺産分割協議により子が建物を所有し、配偶者が配偶者居住権を取得した場合の例を紹介します。
登記申請に必要な書類は以下の通りです:
- 登記原因証明情報
- 登記識別情報(子が建物を相続したときのもの)
- 印鑑証明書(子)
委任状(代理申請する場合)
「登記原因証明情報」には、配偶者居住権を取得した経緯を記載します。
遺産分割協議に基づいて取得した場合、その旨と特約、存続期間、配偶者が相続開始時に居住していた旨を記載します。
配偶者居住権の登記の登録免許税は、不動産の価額の1000分の2です。ただし、その額が1,000円未満の場合は1,000円が登録免許税額となります。
配偶者居住権の登記についての詳細は司法書士や法務省のホームページをご覧ください。
配偶者居住権と税金
配偶者居住権にも税金の問題があります。
相続税と関連することもあり、配偶者居住権を設定するかどうかでメリット・デメリットがあります。
配偶者居住権は「節税対策」の制度ではないことを理解しておくことが重要です。
税金については、税理士に確認することをお勧めします。
まずは、配偶者居住権を設定するか確認し、次に遺産分割協議を行い、最後に配偶者居住権の登記を行うのがスムーズな流れです。
まとめ
「配偶者居住権」についての概略と登記手続き、税金のことを紹介しました。
少しでもお役に立てば幸いです。
詳細やお問い合わせは、当事務所までどうぞ。
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今回は
『江戸川区司法書士・行政書士が解説!配偶者居住権の基本と手続き:初心者向けガイド』
に関する内容でした。
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