東京都江戸川区葛西駅前
会社設立などの企業法務・相続専門
司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一です。
目次
はじめに
民法債権法改正が決まり、今国会では相続法改正や成人年齢引き下げなど、改正が盛り沢山。
そんな中、会社法関係でも改正の動きがでています。
「会社法制(企業統治等関係)の見直し関する中間試案」が出され、改正内容がこれからさらに煮詰まると思います。
上記中間試案では登記に絡む内容はあるのでしょうか?
会社法制(企業統治等関係)の見直し関する中間試案 登記に絡む部分は?
今回の中間試案での改正の要点はどこにあるか?
今回の会社法の見直しについて、大きく分けると4つに細分化されます。
- 株主総会に関する規律の見直し
- 取締役等に関する見直し
- 社債等に管理等に関する見直し
- その他
私見ですが、中小零細企業、一人会社とかこじんまりしている株式会社においては、今回改正されるであろう内容につき実務に影響は少ないと思います。
登記に絡む変更点は何かあるのか?
なにか登記に絡みそうなことは書いていないか「中間試案」を読んでいたところ。最後の「その他」に関する部分で登記に絡みそうな事項がありました。
- 新株予約権に関する登記
- 株式会社の代表者の住所が記載された登記事項証明書
- 会社の支店の所在地における登記の廃止
上記3つについてざっくり解説していきます。
新株予約権に関する登記について
中間試案では、A案、B案が提示されています。どちらになるかは現地点では不明です。
(A案)
会社法第238条第1項第2項及び第3項に掲げる事項(同法第911条第3項第12号ニ)は登記することを要しないとする(B案)
募集新株予約権について会社法第238条第1項第3項に掲げる事項を定めたときは、同号の払込金額を登記しなければならないものとする。ただし、同号に掲げる事項として払込金額の算定方法を定めた場合において、登記の申請の時までに募集新株予約権の払込金額が確定していないときは、当該算定方法を登記しなければならないものとする。
参考条文はこちら
(募集事項の決定)
第238条 株式会社は、その発行する新株予約権を引き受ける者の募集をしようとするときは、その都度、募集新株予約権(当該募集に応じて当該新株予約権の引受けの申込みをした者に対して割り当てる新株予約権をいう。以下この章において同じ。)について次に掲げる事項(以下この節において「募集事項」という。)を定めなければならない。
二 募集新株予約権と引換えに金銭の払込みを要しないこととする場合には、その旨
三 前号に規定する場合以外の場合には、募集新株予約権の払込金額(募集新株予約権1個と引換えに払い込む金銭の額をいう。以下この章において同じ。)又はその算定方法
第911条
3.第1項の登記においては、次に掲げる事項を登記しなければならない。十二 新株予約権を発行したときは、次に掲げる事項
ニ 第236条第1項第七号並びに第238条第1項第二号及び第三号に掲げる事項
株式会社の代表者の住所が記載された登記事項証明書
個人的には、これは結構大きい改正かもしれないと思っています。
株式会社の代表者の住所は現状登記事項となっています。
登記事項証明書は誰でも取得できるので、代表取締役の住所はあからさまに分かってしまいます。
今回の中間試案では、登記事項証明書については誰でも取得可能ですが、代表取締役の住所は、当該住所の確認について利害関係を有するものに限りこの交付をすることができることに変わりそうです。
ただ、代表者の住所が登記事項になることについては、中間試案がそのまま改正となっても変わらないものと思われます。
支店の登記
現在の会社の支店の登記簿は、商号・本店・支店所在地しか記載されていません。
現状、支店所在地管轄の法務局でも、本店所在地の登記事項証明書をしゅとくできるので、支店の登記は意味がないといわれています。
今回の中間試案では、それを汲んでか支店登記の廃止を掲げています。
まとめ
今回の会社法の改正になりそうな部分については中小零細企業はあまり関わりないように思います。
ただ、登記事項証明書を取得する際に代表者の住所を記載してもらうにつき、利害関係を有するものからでないと取得できないことについては大きい改正かもしれません。
今回は
『会社法制(企業統治等関係)の見直し関する中間試案 登記に絡む部分は?』
に関する内容でした。
参考書籍はこちらから
株式会社法 第7版
江頭 憲治郎 有斐閣 2017-11-11
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会社法
田中 亘 東京大学出版会 2016-09-29
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