東京都江戸川区葛西駅前
会社設立などの企業法務・相続専門
司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一です。
目次
はじめに
法務省の合同会社の設立登記の申請書の
添付書類の欄に、「印鑑証明書」の記載が
ありません。
印鑑証明書の添付は必要でしょうか?
合同会社設立の際に代表社員の就任承諾書
を添付するケースがありますが、その際に
押印するのは実印で印鑑証明書を添付する
必要があるのか問題になります。
結論から書くと、
設立登記申請の際には印鑑証明書は
不要ですし、登記申請書の添付書面には
記載しません。
しかし、印鑑届書には印鑑証明書が
必要です。
なぜ、そうなのか、株式会社の設立登記のときと
比較しながら書いていきます。
今回は代表社員が個人の場合を想定して
書きます。
(法人の場合は必要書類が増えます。)
合同会社設立登記の添付書面に印鑑証明書は必要か?
合同会社の代表社員の就任承諾書について
株式会社の設立登記に際し、取締役(もしくは
代表取締役)の就任承諾書に印鑑証明書が
必要にになる理由は就任承諾の意思を
ハッキリさせるためといわれています。
上記理由を合同会社に当てはめるとどうなるか?
合同会社の場合、業務執行社員の氏名、
代表社員の氏名・住所が登記事項です。
合同会社設立の登記申請書には、
業務執行社員の就任承諾書と代表社員の
就任承諾書が必要だと思われるでしょう。
しかし、設立の際の業務執行社員の
就任承諾書は添付書面となっていません。
代表社員については就任承諾書は
添付書面となっています。
ただ、代表社員の就任承諾書が必要になる
場合は、設立時に業務執行社員の一致で
決めたときです。
定款に代表社員を定めた場合には、
社員はそれを承知して定款に署名又は記名
押印しているから、別途代表社員の就任の
承諾を証する書面の添付は不要とされて
います。(商業登記ハンドブック第3版
622頁、合同会社設立・運営のすべて
119頁)
※参考書籍に紹介しておきます。
さらに、社員が1名の合同会社では、
社員は法律上当然に業務執行社員
及び代表社員になるので、
就任承諾を証する書面は不要です。
代表社員の就任承諾書の添付がいらない場合が
ある以上、印鑑証明書も添付を要しない考えも
ここで成り立ちます。
次に法律の規定ではどうなっているのか
見てみましょう。
商業登記規則から就任承諾の際の印鑑証明書がいらない理由を探る
株式会社の場合、取締役会非設置会社では
取締役の就任承諾書につき、取締役会設置
会社では代表取締役の就任承諾書につき
それぞれ、実印を押印し印鑑証明書を
添付しなければなりません。
一方、合同会社にあっては、代表社員の
就任承諾書については印鑑証明書は
不要となっています。
合同会社の登記に関する規定がある
商業登記規則第92条で株式会社の
添付書面の規定商業登記規則第61条の
別の規定は準用されていますが、就任承諾
を証する書面の印鑑証明書に関する規定
(4項・5項)は準用されていません。
なので、合同会社設立の際には
代表社員に関する就任承諾書についての
印鑑証明書は不要となるのです。
しかし、合同会社設立の際には、法務局に
会社の印鑑を提出する必要があります。
印鑑届書に会社の届出印を押印しますが、
その際に代表社員の実印押印と印鑑証明書
が必要です。
以上から、印鑑届書を提出する必要があるので、
代表社員になる方の個人の実印と印鑑証明書は
必要ということになります。
まとめ
ちょっと頭の中が整理できない方も
いるかもしれませんが、合同会社設立に
ついても代表社員の実印と印鑑証明書は
必要ということを理解してください。
必要となる理由が株式会社設立のときと
異なるということも理解してください。
参考書籍
商業登記ハンドブック〔第3版〕
松井 信憲 商事法務 2015-05-20
|
5つの定款モデルで自由自在 「合同会社」設立・運営のすべて
神﨑 満治郎 中央経済社 2014-08-26
|
日々の自分の気づきをメルマガで紹介!
司法書士行政書士きりがやの人生楽しく!
~徒然なるままに・・・
メルマガ登録はこちらから!