目次
はじめに
老後のために頑張って積み上げた退職金2000万円。
しかし、あなたが亡くなった後、この2000万円がそのまま家族に渡ると思っていたら、それは大きな誤解です。
相続が発生した瞬間、退職金は様々な形で目減りしていきます。
江戸川区船堀で相続登記を専門に年間60件以上対応している司法書士の桐ケ谷淳一が、現場で見てきたリアルをお伝えします。
退職金2000万円が相続で減る3つの理由
理由① 相続税がかかる
退職金は「死亡退職金」として相続財産に含まれます。
ただし、非課税枠があります。
死亡退職金の非課税枠=500万円×法定相続人の数
例えば法定相続人が配偶者と子ども2人の合計3人の場合、非課税枠は1,500万円です。
退職金2000万円のうち、非課税枠1,500万円を超えた500万円が相続税の課税対象になります。
さらに退職金以外の財産(預貯金・不動産など)と合算されるため、相続税の負担は思った以上に大きくなるケースがあります。
理由② 銀行口座が凍結される
亡くなった事実が銀行に伝わると、預貯金口座は即座に凍結されます。
退職金が振り込まれていた口座も例外ではありません。
凍結後は遺産分割協議が完了するまで、原則として引き出しができません。
葬儀費用・医療費の支払いがあっても、すぐに使えない状態になります。
手続きが長引けば半年〜1年以上凍結が続くこともあります。
理由③ 手続きコストがかかる
相続手続きには費用がかかります。
主なものはこちらです。
- 相続登記費用(不動産がある場合):登録免許税+司法書士報酬
- 相続税申告費用(課税対象の場合):税理士報酬
- 戸籍収集・その他実費
これらを合計すると、数十万円になるケースも珍しくありません。
現場で見てきた実例
こんなケースがありました。
退職金2,200万円を残して亡くなった父親。預貯金・自宅不動産を合わせると遺産総額は約6,000万円でした。
子ども2人・配偶者の3人が相続人でしたが、誰も相続対策をしていませんでした。
結果として相続税の申告が必要になり、税理士費用・司法書士費用・相続税を合わせると総額200万円以上のコストが発生しました。
「もっと早く準備しておけばよかった」というのが、ご家族の言葉でした。
退職金を守るために今からできること
対策① 生命保険の非課税枠を活用する
生命保険金にも死亡退職金と同様の非課税枠があります。
生命保険金の非課税枠=500万円×法定相続人の数
退職金の一部を生命保険に組み替えることで、相続税の負担を減らせる場合があります。
対策② 遺言書を作成する
遺言書がないと、相続人全員で遺産分割協議をしなければなりません。
協議がまとまらなければ、口座凍結が長期化します。
遺言書があれば手続きがスムーズになり、家族の負担を大幅に減らせます。
対策③ 早めに専門家に相談する
相続対策は「元気なうちにしかできない」ものがほとんどです。
認知症になってからでは、法律上できなくなる手続きがあります。
退職金を受け取ったタイミング、あるいは60代に入ったタイミングが相談の最適な時期です。
よくある質問
Q1. 退職金は必ず相続税がかかりますか?
かかるケースとかからないケースがあります。
非課税枠(500万円×法定相続人の数)以内に収まる場合、退職金単体では相続税はかかりません。
ただし、預貯金・不動産・生命保険金など他の財産と合算して基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超えると、相続税の申告が必要になります。
「退職金だけ見て安心していたら、不動産と合算したら課税対象だった」というケースは現場でよくあります。
Q2. 銀行口座の凍結はいつ解除されますか?
遺産分割協議が完了し、相続人全員の署名・実印・印鑑証明書が揃った時点で解除手続きができます。
相続人が少なく、全員が協力的な場合は1〜2ヶ月で解決することもあります。
一方、相続人が多い・連絡が取れない相続人がいる・遺産の分け方で揉めるなどの場合は、半年〜1年以上かかることもあります。
なお、2019年の法改正により、遺産分割前でも各相続人が一定額(上限150万円)を単独で引き出せる制度ができました。
葬儀費用などの急な出費に対応できます。
Q3. 遺言書がある場合、手続きは簡単になりますか?
大幅に簡単になります。
遺言書がない場合、相続人全員で遺産分割協議をしなければなりません。
一人でも反対すれば協議はまとまらず、最悪の場合は家庭裁判所での調停・審判に発展します。
遺言書があれば、原則として遺言の内容通りに手続きを進められます。
相続人同士で話し合う必要がなくなるため、手続き期間が大幅に短縮されます。
特に「連絡を取っていない兄弟がいる」「再婚していて前妻との子どもがいる」というケースでは、遺言書の有無で手続きの複雑さがまったく変わります。
Q4. 相続対策はいつから始めればいいですか?
早ければ早いほど選択肢が広がります。
認知症と診断された後では、法律上できなくなる手続きがあります。
例えば任意後見契約・家族信託・生前贈与・遺言書の作成は、本人の判断能力がある状態でしか行えません。
目安として、退職金を受け取った60代前半が相談の最適なタイミングです。
「まだ早い」と思っているうちに、できることが一つずつ減っていきます。
Q5. 司法書士と税理士、どちらに相談すればいいですか?
内容によって異なります。
司法書士に相談すべきケース
- 不動産の名義変更(相続登記)をしたい
- 遺言書を作成したい
- 家族信託・任意後見の契約をしたい
- 相続手続きの全体的な流れを知りたい
税理士に相談すべきケース
- 相続税の申告が必要か確認したい
- 相続税の節税対策を知りたい
- 生前贈与の税務上の取り扱いを知りたい
迷ったらまず司法書士にご相談ください。内容によって税理士をご紹介することも可能です。
きりがや事務所では提携税理士との連携体制を整えています。
Q6. 相続手続きを自分でやることはできますか?
できないことはありません。
ただし、戸籍収集・遺産分割協議書の作成・相続登記の申請書作成など、慣れない作業が続きます。
途中で止まってしまい、結局専門家に依頼するというケースも少なくありません。
また、2024年4月から相続登記が義務化されました。
正当な理由なく3年以内に手続きをしない場合、10万円以下の過料が科される可能性があります。
手間と時間・リスクを考えると、専門家に任せることは十分合理的な選択です。
まとめ
退職金2000万円が相続で目減りする理由は3つです。
相続税・口座凍結・手続きコスト、この3つを事前に把握して対策を取るかどうかで、家族が受け取る金額は大きく変わります。
「うちはまだ大丈夫」と思っているうちに、準備できる時間は確実に減っていきます。
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