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「また同じことが起きた」——相続の現場で気づいたパターン
司法書士として60件以上の相続案件に関わってきた中で、ある「共通点」に気づきました。
揉める家族は、繰り返します。
一度相続でトラブルになった家族が、何も対策をしないまま次の相続を迎え、また同じ問題を起こす。
「今回は大丈夫だろう」ではなく、「なぜ繰り返すのか」を理解することが、あなたの家族を守る第一歩です。
実際にあった「繰り返した家族」の事例
少し前に担当した案件のことを、本人が特定されない形でお伝えします。
お父様が亡くなり、相続手続きが始まりました。相続人は子ども3人。一見シンプルに見えましたが、手続きを進めると相続人のひとりが一切協力しません。
- 書類にハンコを押さない
- 連絡しても返事がない
- 話し合いの場にも来ない
他の相続人の方から話を聞いたところ、こんなことがわかりました。
「実は、祖父が亡くなったときも同じだったんです。父が生きているうちに解決すればよかったのに、何もしなかった。」
お父様は、自分の親(祖父)の相続でトラブルを経験していた。それなのに、遺言書も残さず、家族会議も開かず、何も対策をしないまま亡くなってしまった。
結果として、非協力的な相続人ひとりに引っ張られ、他の家族が何ヶ月も手続きを止められる事態になりました。
繰り返す家族に共通する「2つの予兆」
この事例に限らず、相続トラブルを繰り返す家族には、必ず共通するパターンがあります。
予兆①:相続人同士の関係が希薄
普段から連絡を取り合っていない。親の状況を誰も把握していない。冠婚葬祭でしか顔を合わせない。
こういう家族ほど、いざ相続が発生したとき、「初めて本音をぶつけ合う場」が相続の場になります。
感情的になった状態での話し合いは、まとまるはずのものもまとまりません。
予兆②:前の相続の教訓を活かしていない
「あのときは特別な事情があった」「うちの親は違う」。
そう言い聞かせて何も動かない。しかし家族の構造は変わっていないため、同じ問題が同じ形で再現されます。
「経験から学ばない」こと自体が、最大のリスクです。
なぜ、わかっていても対策しないのか
相続に詳しい方に限って、「準備しなければ」と思いながら動けないケースがあります。理由は3つあります。
① 「まだ早い」という感覚
親が元気なうちは、相続の話を切り出しにくい。
特に日本の家庭文化では「縁起でもない」という空気が邪魔をします。
② 「自分たちは仲がいいから大丈夫」という過信
仲がいい家族ほど、お互いの感情に遠慮して本音を言えない。
いざ相続が起きると、長年の感情が一気に噴き出します。
③ 「何から始めればいいかわからない」という迷い
準備の方法がわからないため、行動を先延ばしにしてしまう。
「逆算思考」で相続準備を設計する
私がかつて書いた『資格合格逆算メソッド』という本では、試験合格を「ゴールから逆算して計画する」ことを提唱しました。
相続の準備も、まったく同じ考え方が使えます。
ゴール(目指す状態)を先に決める。
たとえば——
- 「相続が発生しても、家族が揉めずにスムーズに手続きを終える状態」
- 「親が認知症になっても、財産管理を誰かひとりに任せられる状態」
このゴールから逆算して、「今何をすべきか」を考えるのです。
今すぐできる3つの対策
対策①:遺言書の作成
遺言書は「財産が多い人が作るもの」ではありません。
遺言書があるだけで、相続人全員の署名・捺印が必要な「遺産分割協議」が不要になります。
非協力的な相続人がいても、手続きを止めることができなくなる。
✅ 特に「相続人の中に連絡が取りにくい人がいる」場合は、遺言書の作成を強くお勧めします。
対策②:家族会議を「今」開く
「相続の話し合いは揉めてから」ではなく、「揉める前にしておく話し合い」が家族会議です。
親が元気なうちに、こんな話題を出してみてください。
- 今、どんな財産があるか(不動産・預貯金・保険)
- 介護が必要になったとき、誰が中心になるか
- 実家をどうするか(売却・誰かが住む・賃貸など)
最初は「重い話だな」と感じるかもしれません。でも、一度話しておくだけで、相続が発生したときの対応がまったく変わります。
対策③:早めに専門家へ相談する
「まだ何も起きていないのに相談するのは…」と思う方も多いです。
でも、相続手続きは「何かが起きてから」相談しても手遅れになることがあります。
特に以下の状況では、早めに司法書士へご相談ください。
- 相続人の中に連絡が取りにくい方がいる
- 不動産が複数ある、または複雑な状況にある
- 過去の相続でトラブルになった経緯がある
- 親が高齢で、認知症のリスクが気になる
まとめ
相続でトラブルを繰り返す家族には、共通のパターンがあります。
- 相続人同士の関係が希薄
- 前の相続の教訓を活かしていない
しかし、これは「うちの家族の性格だから仕方ない」ではありません。準備次第で変えられます。
逆算思考で「揉めない相続」をゴールに設定し、今できることから一歩ずつ動いてください。
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司法書士・行政書士 きりがや事務所
江戸川区船堀で、相続登記・遺言書作成・家族信託など、相続に関するご相談を承っています。
「何から始めればいいかわからない」という段階からお気軽にどうぞ。
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この記事を書いた人:桐ケ谷淳一(司法書士・行政書士) 江戸川区船堀の司法書士・行政書士きりがや事務所代表。相続登記を専門に60件以上対応。著書『資格合格逆算メソッド』。
