東京都江戸川区船堀「司法書士・行政書士きりがや事務所」司法書士・行政書士「資格合格逆算メソッド」著者の桐ケ谷淳一(@kirijunshisho)です。
目次
はじめに
「そろそろ親も高齢だし、万が一のときの相続について考えなきゃな……」
そう思って、それとなく親に話を振ってみたことはありませんか?
でも、返ってくるのは 「うちは大した財産なんてないから大丈夫だよ」 「まだ元気なのに、死ぬときの話なんて縁起でもない」 という、素っ気ない言葉ばかり。
実は、相続の問題で一番苦労するのは、この「親は話したがらないけれど、子どものほうが心配している」という温度差です。
つい「相続税がいくらかかるか」や「手続きをどうするか」といった数字や法律の話をしたくなりますが、、実はもっと別の場所にあります。
今回は、難しい話は一度横に置いておきましょう。
1円も損しないことよりも、家族がバラバラにならないために。
通帳の中身よりも先に、親に聞いておくべき「たった一つの質問」についてお話しします。
1. 「うちは大丈夫」という言葉の裏にあるもの
親が「大丈夫だ」と言うとき、それは「お金がたくさんあるから安心しろ」という意味ではありません。
多くの場合、「自分がいなくなった後、子どもたちが揉めるはずがない」という、わが子への絶大な信頼(あるいは、ちょっとした照れ隠し)です。
でも、残酷なことを言えば、相続の問題を「他人事」として放置してしまうのが、一番揉める原因になります。
実際にトラブルになるのは、ドラマに出てくるような資産家ではありません。
ごく普通の、仲の良かったはずのご家庭です。 親がいなくなった後、空っぽになった実家で「あのお皿は私がもらう」「お兄ちゃんは昔から得してた」なんて小さな不満が爆発してしまう。
それは、親の「想い」という道しるべがないからです。
2. 魔法の質問:「そのお金で、私たちにどうなってほしい?」
だからこそ、親が元気な今のうちに聞いてほしい質問があります。 預金残高を確認することよりも、もっと大切なことです。
「お父さん(お母さん)が一生懸命貯めたそのお金で、私たちにどうなってほしいと思ってる?」
これだけでいいんです。
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「この貯金は、孫の入学金に使ってほしい」
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「この家は、長男に守ってほしい。その代わり、妹には少し現金を多めに渡してやってほしい」
親の口から、お金に込められた「願い」を語ってもらう。 これが、どんなに立派な契約書よりも強い力を持ちます。
もし親が亡くなった後、兄弟で意見が分かれそうになっても、「あの時、父さんはこう言ってたよね」という共通の記憶があれば、それは「争い」ではなく、家族全員で「親の願いをどう叶えるか」という共同作業に変わるからです。
3. 「相続」ではなく「人生の答え合わせ」
親が相続の話を嫌がるのは、それが「自分の人生の終わり」を突きつけられるように感じるからです。
だから、無理に「手続き」の話をしないでください。
「今まで頑張って働いて、私たちを育ててくれてありがとう。その大切なバトンを、一番いい形で受け継ぎたいんだ。だから、ヒントをくれないかな?」
そうやって、親の人生を肯定し、感謝を伝える「相談」の形をとってみてください。
子どもから「あなたの歩んできた道を大切にしたい」と言われて、嫌な気持ちになる親はいません。
相続は、誰かが得をして誰かが損をする「数字のゲーム」ではありません。
親の人生のラストシーンを、家族みんなで温かく見届けるための準備なんです。
まとめ:今週末、一言だけ聞いてみませんか
「相続税がいくらかかるか」なんて、プロに任せれば後でどうにでもなります。
でも、親の口から直接「想い」を聞けるチャンスには、期限があります。
まずは、親がそのお金をどんな想いで貯め、どんな未来を家族に託したいのか。
その「ココロ」の部分を、一回でもいいから聞いてみてください。
数字だけを分けるのが「遺産分割」ですが、親の想いまで分かち合うのが、本当の意味での「相続」だと、僕は思います。
今週末、久しぶりに親御さんとお茶を飲むとき。 「そういえばさ……」と、この話を切り出してみませんか。
