商業登記完全オンライン化が進む中で書面申請でするときに注意すべきことは?江戸川区葛西の司法書士が書きます!
東京都江戸川区葛西駅前 ひとり会社設立や小さい会社の企業法務・相続専門 資格試験アドバイザー 司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一(@kirigayajun)です。
目次
はじめに
最近興味を持っている業務の一つに「商業登記の完全オンライン申請」があります。
私も、機械音痴のところがありますが、時代の流れということで対応していく所存です。
それに伴い、昨年、書面で登記申請を行う場合にかなり実務的に変わってきました。
今回はこちらをご紹介します。
商業登記完全オンライン化が進む中で書面申請でするときに注意すべきことは?
書面申請の際の添付書面で押印不要のものもある
昨年のオンライン申請に関する規定の導入で、書面申請のあり方も大きく変わりました。
法律上、押印義務があるもの以外については、書面に押印がなくても、登記申請は受理されることになりました。
ただ、登記申請の際には「押印の要否にかかわらず、登記の申請には原本の提出が必要です」と記載されていますが、どうなのでしょうか。
実際に押印を要しない書類はなにか?
法務省のホームページには以下の書類が例として掲げられています。
・主要な株主の氏名又は名称、住所及び議決権数等を証する書面(いわゆる株主リスト)(商業登記規則第61条第3項)
・資本金の額の計上に関する証明書(商業登記規則第61条第9項)
・金銭の払込みがあったことを証する書面(商業登記法第47条第2項第5号)
・取締役、監査役、執行役等の就任承諾書(商業登記法第47条第2項第10号、第54条第1項)※商業登記規則第61条第4項及び第5項の規定の適用を受けない場合
・辞任を証する書面(商業登記法第54条第4項)※商業登記規則第61第8項の規定の適用を受けない場合
・株主総会招集期間を短縮する場合の同意書(商業登記法第46条第1項)
・失権予告付催告期間を短縮する場合の株主の同意書(商業登記法第46条第1項)
・募集株式又は募集新株予約権の引受けの申込みを証する書面(商業登記法第56条第1号、第65条第1号)
・募集株式又は募集新株予約権の総数引受契約を証する書面(商業登記法第56条第1号、第65条第1号)
・新株予約権の行使があったことを証する書面(商業登記法第57条第1号)
・取得請求権付株式の取得請求があったことを証する書面(商業登記法第58条)
・吸収合併契約書(商業登記法第80条第1号)
・添付書面の還付を請求する際に作成する謄本(商業登記規則第49条第2項)
・本人確認証明書として添付するための運転免許証等の謄本(商業登記規則第61条第7項)
※商業登記規則第49条第2項及び第61条第7項の各謄本には押印は要しませんが、原本と相違がない旨の記載及び記名は引き続き必要ですので御注意願います。
上記の例をみると、意外と押印が不要な書類が多いことに気づくと思われます。
ただ、実務では、やはり書面で作成された書面であっても押印することで証拠としての効力があるため、押印することが多いと思われます。
役員変更登記は基本議事録等の押印義務がある
逆に押印義務がある書類については、以下のとおりです。申請書、各添付書面等の押印の要否について(商業・法人登記)
・定款(会社法第26条第1項)
・取締役会議事録(会社法第369条第3項)
・取締役会を置かない株式会社において作成される取締役の一致があったことを証する書面(令和3年1月29日法務省民商第10号通達)
・就任を承諾したことを証する書面(商業登記規則第61条第4項、第5項)※ただし、再任の場合を除く。
取締役会設置会社・・・代表取締役の就任承諾書
取締役会非設置会社・・・取締役の就任承諾書
・印鑑を提出している代表取締役若しくは代表執行役又は代表取締役である取締役若しくは代表執行役である執行役の辞任を証する書面(商業登記規則第61条第8項)
・清算人会議事録(会社法第490条第5項、第369条第3項)
・登記された事項につき無効原因があることを証する書面(令和3年1月29日法務省民商第10号通達)
・その他法令の規定により押印を要する書面
これを見ていると、役員変更登記に関するものが書面に押印義務があることに注意ですね。
個人実印になるのか、会社実印になるのかも注意して見ていく必要がありますね。
まとめ
いくら書面に押印義務がなくても、やはり、押印したものを添付すべきではないかと思っています。
なお、オンライン申請の場合は、必ず電子署名が必要となりますので、注意してください。
今回は
『商業登記完全オンライン化が進む中で書面申請でするときに注意すべきことは?江戸川区葛西の司法書士が書きます!』
に関する内容でした。
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