こんにちは、東京都江戸川区船堀に事務所を構える「相続」に特化した事務所、司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一(@kirijunshoshi)です。
目次
はじめに
親御さんに「遺言を書いておこうよ」と声をかけると、十中八九こう返ってきます。
「うちは財産も少ないし、家族仲もいいから大丈夫」
けれど 家庭裁判所の統計では、年間1万4千件超の遺産分割事件の約4割が“遺産1,000万円未満”の家庭。
さらに2024年4月、相続登記が義務化され、不動産を亡くなった親名義のままにしておくと10万円以下の過料が科される可能性も出てきました。
財産の多寡ではなく、準備の有無が家族を守る分かれ道。
この記事では「まだ遺言を書いていない親」を動かすために、まず知っておいてほしい“無料で出来る基礎準備”をまとめます。

1. 遺言書の3タイプと“選び方の目安”
種類 | 費用 | 無効リスク | 向いているケース |
自筆証書遺言 | ほぼ0円 | 要件を満たさないと高い | 費用を抑えたい/財産がシンプル |
公正証書遺言 | 3〜8万円 | ほぼゼロ | 不動産が複数・争いを確実に防ぎたい |
秘密証書遺言 | 印紙+手数料 | 中程度 | 内容を誰にも見られたくない |
チェックポイント3つ
-
財産総額5,000万円以上 → 公正証書寄り
-
相続人に未成年者がいる → 公正証書で後見トラブル回避
-
費用を極力抑えたい・書く時間がない → 自筆+法務局保管制度(3,900円)
2. 親が耳を傾けやすい「声かけ」3フレーズ
シーン | ひと言 | 効く理由 |
固定資産税の請求書を開いた瞬間 | 「名義整理すると税金も手間も減るんだって」 | 損得で説得 |
病院の待合室 | 「先生も“備えが大事”と言ってたよ」 | 権威効果で納得 |
誕生日ケーキのろうそくに火をともす前 | 「気持ちを“手紙”にしてくれたら宝物にするね」 | “遺言→手紙”と言い換え 心理的ハードルを下げる |
3. 無効になる典型ミス BEST3
-
日付が「令和○年吉日」 – 日付特定できず無効判例多数
-
不動産を“自宅”とだけ書く – 登記簿と一致せず執行不可
-
二重線訂正に押印なし – 自筆遺言の要件を満たさず無効
→ 最低限の対策
-
日付は数字で「2025年5月13日」
-
登記事項証明書の地番・家屋番号を写す
-
誤字訂正は二重線+訂正印+訂正文字数を記入
4. 今日から出来るチェックリスト
-
親名義の不動産所在地をメモにまとめる
-
通帳と証券口座の支店名・番号を一覧にする
-
法務局HPで自筆証書遺言保管制度の手数料を確認
-
家族LINEに「終活ノート」フォルダを作成し共有
これだけでも“いざという時の迷子書類”を大幅に減らせます。
まとめ
-
相続トラブルは少額世帯でも日常的に起こる
-
親を動かす秘訣は 「損得」「権威」「言い換え」 の3ステップ
-
無効リスクは 日付・財産の特定・訂正方法 を押さえれば大幅減
-
今日できる4つの無料チェック で情報を“見える化”しておく
▽ さらに具体的な実践ツールをお探しの方へ
本ブログでは“入口”を中心に解説しました。
「実際に親を動かす声かけ台本全文」「無効を防ぐ25項目チェックシート」「付言文例10パターン」「自筆vs公正証書診断フロー」 など“すぐ使えるPDFツール”を集めた有料マガジン(500円)をnoteで販売中です。
▼ 家族トラブルをゼロに近づける実践セットはこちら
相続に関して悩んでいるという方は、お気軽にご相談ください。
電子書籍でさらに詳しく学ぶ:がんばらない相続手続き
相続で悩んでいる場合は、電子書籍『がんばらない相続手続き:効率よく進める3つの方法』をお読みください。
基礎的な相続手続きについて詳しく解説しています。
今すぐ手続きを始めて、安心した未来を手に入れましょう!