会計限定監査役の責任 名ばかり監査役でも責任は負います!司法書士が解説
東京都江戸川区葛西駅前 ひとり会社設立や小さい会社の企業法務・相続専門 資格試験アドバイザー 司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一(@kirigayajun)です。
目次
はじめに
昨今、実務で話題になっているのが「名ばかり監査役」の責任。
中小零細企業で家族経営の場合、取締役会設置会社の会計限定監査役を設置している場合は要注意です。
今回は、「名ばかり監査役に一石 横領見落とし責任 審理差し戻し」の記事をベースに中小零細企業の監査役の責任について解説します。
会計限定監査役の責任 名ばかり監査役でも責任は負います!司法書士が解説
中小零細企業の監査役の権限 会計限定がほとんど
平成18年以前に株式会社を設立している会社は、取締役会設置会社であり、監査役設置が義務でした。
その名残で、中小零細企業で家族経営の会社は、監査役を設置しているところがまだ多くあります。
そうなると、今回の事案については注意深く見る必要があります。
会計限定監査役でも責任義務が生じてくる
監査役の権限として、業務監査権限と会計監査権限があります。
ただ、中小零細企業の監査役に関しては、定款で「会計監査に限定する」旨を定めていることがほとんどです。
なので、中小零細企業の監査役は会計監査に限って業務を行うことになります。
最高裁は、会計限定監査役につき、以下のように判示しています。
監査の範囲が会計に関するものに限定されている監査役は,計算書類及びその附属明細書の監査を行うに当たり,会計帳簿が信頼性を欠くものであることが明らかでない場合であっても,当該計算書類等に表示された情報が会計帳簿の内容に合致していることを確認しさえすれば,常にその任務を尽くしたといえるものではない。
つまり、計算書類及びその附属明細書の確認だけでは、会計限定監査役の職務を全うしたとは言えないことを判示しています。
今回の事例では横領が発覚して、それを見落としたとして会計限定監査役の責任が認められたということになり、結構大きな意味があります。
そのことから考えても、安易な会計限定監査役の就任や会計限定監査役を置くことはリスクがあるように読めます。
身の丈にあった機関設計にする必要がある
この最高裁の判例から、小さな会社の企業法務で本当に取締役会や監査役が機能しているか、見直す必要があります。
もし、取締役会なり監査役が機能していない会社の場合は定款の見直しをするべきです。
身の丈にあった経営をする観点から費用はかかりますが、将来のリスクのことを考えたら費用は安いかもしれません。
それでも登録免許税として、最低7万円かかりますが。
まとめ
この事案を通じて、機関設計の見直しが必要な会社が増えてくると思われます。
取締役会設置会社、監査役設置会社の廃止等定款の見直しは、司法書士に相談するといいです。
今回は
『会計限定監査役の責任 名ばかり監査役でも責任は負います!司法書士が解説』
に関する内容でした。
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