取締役・代表取締役の辞任について 辞任日と辞任届に押印する印鑑の注意点は?
東京都江戸川区葛西駅前 ひとり会社設立や小さい会社の企業法務・相続専門 資格試験アドバイザー 司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一(@kirigayajun)です。
目次
はじめに
自分が取締役になっている場合、任期満了により退任するほか、辞める方法としては、「辞任」があります。
「辞任」で気をつけないといけないことについて商業登記の観点からまとめてみました。
取締役・代表取締役の辞任について辞任日と辞任届に押印する印鑑の注意点は?
辞任日について気をつけることは?
辞任日について、結構勘違いされている方が多いので紹介します。
登記申請に絡む「辞任」の場合は、辞任する方から「辞任届」を提出してもらいます。
基本は、辞任日を特定して辞任届を提出することが実務上多いです。
しかし、辞任届に特定の日に辞任すると記載されていない場合、辞任の意思が会社に到達した日が辞任日となります。
なので、辞任届が会社に到達した日をもって登記申請日の「辞任日」にします。
ただ、実務では、株主総会が終わったり、月末をもって辞任することが多いです。
なので、「年月日定時株主総会終結をもって」とか「年月日をもって辞任します」など辞任届に記載していることがほとんどです。
なお、すでに任期満了が過ぎて権利義務取締役状態で辞任することはできません。
権利義務取締役の方が辞任したい場合は、後任者が決まって辞任することができます。
この場合は、登記する際の日付は辞任の意思表示をした日ではなく、本来の任期満了時となります。
辞任届に押印する印鑑は?
辞任届に押印する印鑑も注意が必要です。
まず、平取締役が辞任する場合、代表取締役が印鑑届書を法務局に提出してある場合、登記申請の際には押印しなくても登記申請は受理されます。
とはいっても、辞任する意思を明確にするため、自署してもらい、認印を押印するのが実務の扱いです。
会社によっては辞任届に自署と実印押印、印鑑証明書を徴収することもあります。
こうすることで、その取締役の辞任の意思が明確になります。
紛争性が高い役員の辞任について後々揉めないためにも、実印押印と印鑑証明書をもらったほうが確実でしょう。
一方、代表取締役の辞任については、注意が必要です。
法務局に印鑑を届けている代表取締役が辞任する場合、もしくは取締役そのものを辞任する場合には、辞任届に法務局に届けているのと同じ会社実印を押印するか、個人実印を押印した上で印鑑証明書を添付する必要があります。
代表取締役辞任については厳格な扱いになることに注意してください。
代表取締役が複数いて、印鑑届書を提出している場合の代表取締役について、印鑑届書を提出していない代表取締役の辞任については、
印鑑については認印でも大丈夫です。
なお、現在は印鑑届書を提出する義務はなくなりました。
その場合の代表取締役の辞任は、辞任届に個人実印と印鑑証明書が必要になるので注意してください
まとめ
取締役、代表取締役の辞任の日付は特定して辞任届に書いてもらうほうがいいでしょう。
また、辞任届に押印する印鑑については、印鑑届書を提出している取締役かどうかで扱いが変わります。
意外と辞任登記一つでも論点が多いです。
今回は
『取締役・代表取締役の辞任について 辞任日と辞任届に押印する印鑑の注意点を司法書士が解説』
に関する内容でした。
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