東京都江戸川区葛西駅前
会社設立などの企業法務・相続専門
司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一です。
目次
はじめに
株式会社DMM.comが合同会社に組織変更するというニュースが飛び込んできました。
株式会社から合同会社にすることは株式上場できないなどマイナス面で見られがち。
しかし、企業にとっては合同会社にすることでメリットも生まれます。
株式会社から合同会社にすることでメリットになることは?
では、なぜあえて株式会社から合同会社へ組織変更するのでしょうか?
そもそも組織変更とはどういう意味で、どうやって手続をするのか・・・
以下で説明していきます。
会社法で定める「組織変更」とは?
「組織変更」はよく団体内部の部署等の組織形態を変更する意味で使われます。
しかし、会社法で定める「組織変更」は別の意味で使われます。
つまり会社法での組織再編の一つで、株式会社が持分会社(合名会社・合資会社・合同会社)となること、またはその逆方向の変更による法人形態を指します。
多くは持分会社から株式会社に組織変更することが多いですが、最近は株式会社から合同会社に組織変更する例も見かけます。
株式会社から合同会社への組織変更の例としてアップルなどの外資系の日本法人に多く見られます。
なお、株式会社から合名会社、合資会社に組織変更する例はほとんどありません。
組織変更する手続はどうすればいいか?
株式会社から合同会社へ、逆に合同会社から株式会社に組織変更する際の流れはざっくり書くと以下のとおりです。
- 株式会社では総株主の同意(会社法776条1項)、合同会社では総社員の同意(会社法781条1項)
- 債権者保護手続(779条、781条)
ところで、株式会社から合同会社へ組織変更する時になぜ、総株主の同意が必要になるのか疑問に思った方もいるでしょう。
株主が持分会社の社員に代わる場合、資本多数決の支配組織から個々の社員の個性を重視する組織に変わります。
株主個々同意をしないと、今まで株主で有利な地位に立っていた人が合同会社に代わることで不利な扱いを受けることもでてきます。
なので、組織変更に際しては全員の同意を要することになったのです。
(事例で学ぶ会社法実務全訂版306頁参照)
株式会社から合同会社へするメリットは何か?
なぜ株式会社から合同会社へ組織変更するのでしょうか?
会社設立後にあっては大きく分けてメリットは以下のとおりです
- 維持費用が安く済む
- 迅速な意思決定と機動的な経営ができる
- 会社内部のことは、出資者同士で自由に取り決めができる
合同会社では株主総会、取締役、取締役会、監査役、会計監査人等の機関が不要な点です。
そのため、定款の中身次第で自由な経営が可能となり、機動性が高く、迅速な意思決定で会社を運営できます。
さらに役員の任期がなく、定期的な役員変更が不要なため、コストを削減できるのも大きいです。
ただ、代表社員の住所を変えたにもかかわらず変更しないままでいた場合、過料になるリスクは高まりますが・・・
あとは決算公告も合同会社だと不要なので、その分も費用も浮きます。
ただ、それなりの規模の会社であれば、いくら決算公告が不要でも社会的要請によりするでしょう。
私がDMM.comが合同会社に組織変更するのは、プレスリリースにもありますが、とにかく迅速な経営判断ができることに尽きると思います。
まとめ
これからの時代、コンパクト経営が流行りそうな予感。
そのひとつとして合同会社を選択肢に入れることもあるでしょう。
資金調達の面でいろいろ議論されますが、定款の内容次第では、合同会社でも対応できると思われます。
DMM.comが合同会社になるのを契機として、合同会社のあり方が再度見直されそうな気がします。
今回は
『株式会社から合同会社への組織変更 合同会社のほうが機動性が高い?DMM.comの合同会社への組織変更から』
に関する内容でした。
あわせて読みたい
合同会社の設立件数増加中!合同会社のことを知っておくことが重要です。詳しくは下記ブログを御覧ください。
合同会社設立登記件数が増加!「合同会社」を知らないと損しますよ!
参考書籍はこちら
事例で学ぶ会社法実務〈全訂版〉
東京司法書士協同組合/金子 登志雄 中央経済社 2018年04月19日
|
「合同会社」設立・運営のすべて
神崎満治郎 中央経済社 2014年09月
|