相続手続きに「グリーン車」がある話——生前に準備した人だけが乗れる

新幹線に乗るとき、ほとんどの人は自由席か指定席を選びます。

グリーン車に乗る人は少数派です。でも、乗った人は知っています。

座席の広さ、静けさ、到着までの快適さ——同じ目的地に向かっているのに、体験がまったく違う。

相続手続きも、実はまったく同じ構造をしています。

「自由席」で相続を迎えた家族に起きること

何も準備しないまま相続を迎えた家族は、自由席に乗り込む状態です。

席があるかどうかわからない。どこに座ればいいかわからない。隣に誰が来るかもわからない。

具体的にはこういうことが起きます。

財産の場所がわからない

亡くなった後、どこの銀行に口座があるのか、不動産がどこにあるのかをゼロから調べることになります。

通帳の場所すらわからないケースは珍しくありません。

誰が何を受け取るかでもめる

遺言書がなければ、相続人全員の合意が必要です。

普段は仲が良い家族でも、お金の話になった瞬間に意見が割れることがあります。

手続きに何年もかかる

財産の調査、相続人の確認、遺産分割協議、各種名義変更——これらをすべて一から進めると、解決まで2〜3年かかるケースもあります。

自由席は「乗れれば何でもいい」という状態です。快適さを考える余裕がありません。

「グリーン車」で相続を迎えた家族に起きること

生前に準備をした家族は、グリーン車に乗った状態で相続を迎えます。

席は確保されている。どこに座るかも決まっている。あとは座るだけです。

準備とは、具体的にはこういうことです。

財産目録を作っておく

どこに何があるかを一覧にしておくだけで、相続後の手続きが劇的にスムーズになります。

銀行口座、不動産、保険、証券口座——一枚の紙に書いておくだけでいい。

遺言書を作っておく

誰が何を受け取るかを親自身が決めておくことで、子どもたちが話し合う必要がなくなります。

遺言書は「争いを防ぐ盾」です。

任意後見・家族信託を検討しておく

認知症になった後でも、家族が財産を管理できる仕組みを作っておく。

銀行口座が凍結されて医療費も出せない、という最悪の事態を防げます。

司法書士に相談しておく

何をすべきかを専門家に整理してもらうだけで、見えていなかったリスクが見えてきます。

グリーン車の「特典」は3つある

生前に準備をした家族には、3つの特典があります。

特典①:時間を失わない

自由席で相続を迎えた家族が数年かけて解決することを、グリーン車の家族は数ヶ月で終わらせます。

その時間は、悲しみを癒やす時間に使えます。

特典②:お金を失わない

準備があれば、相続税の特例や節税対策を最大限に活用できます。

小規模宅地等の特例を使えば、実家の土地の評価額を最大80%下げることも可能です。

準備のない家族はこの特典を使えません。

特典③:関係を失わない

遺産分割でもめた兄弟姉妹が、その後二度と口をきかなくなるケースを何件も見てきました。

グリーン車の家族は、相続が終わった後も家族のままでいられます。

グリーン車の切符はいつ買えるか

グリーン車の切符には、買える期間があります。

親が元気で、判断能力がある「今」だけです。

認知症になった後では、遺言書も任意後見も家族信託も使えません。切符の窓口は、突然閉まります。

「そのうち」と思っているうちに窓口が閉まった家族を、何度も見てきました。

グリーン車の切符は、今日買いに行けます。

まずは一度、相談だけでも来てください。

▶ 親の「もしも」前に——司法書士が教える老活手続き

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桐ケ谷淳一 司法書士・行政書士きりがや事務所(東京都江戸川区船堀) 相続登記60件以上対応

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司法書士・行政書士 桐ケ谷 淳一

鉄道(乗り鉄・撮り鉄両方)と麻婆豆腐・担々麺をこよなく愛する司法書士・行政書士です。
ひとり会社設立、副業・複業、小さな会社の企業法務の分野を得意としています。
1977年1月 東京生まれ東京育ち
2000年 日本大学法学部法律学科卒業
2004年 司法書士試験合格
2005年 行政書士試験合格
2007年 東京都江戸川区葛西駅前にて司法書士事務所・行政書士事務所を開業
2017年 平成27・28年施行改正会社法・商業登記規則、役員変更登記の注意点(株式会社レガシィから)のCD・DVDを出しました。