特例有限会社や合同会社の役員にも任期規定やみなし解散制度を設けるべきでは?[小さな会社の企業法務]

特例有限会社や合同会社の役員にも任期規定やみなし解散制度を設けるべきでは?

ひとり会社設立や小さい会社の企業法務・相続専門 司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一(@kirigayajun)です。

はじめに

あなたは、一定期間登記がされないと、法務局で勝手に解散登記がされる「みなし解散制度」というのをご存じですか?

みなし解散制度は、株式会社の経営者の方が知らないとかなりまずいです。

詳しくはこのブログを御覧ください。
株式会社設立 意外と知られていないみなし解散制度

みなし解散制度が適用されるのは、株式会社だけ。
特例有限会社や合同会社にはみなし解散制度は適用されません。

その関連性で、合同会社や特例有限会社は役員の任期の規定もありません。

私は、それはおかしいのではないかと感じています。

なぜおかしいのかを書いていきます。

今回はこちらのブログを参考にしました。

特例有限会社や持分会社における休眠会社の整理 – 司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

特例有限会社や合同会社の役員にも任期規定を設けるべきでは?

そもそもみなし解散制度とはなにか?

まずは「みなし解散制度」について触れます。

冒頭でも少し書きましたが、株式会社で、一定期間登記がなされないと、法務局で一方的に解散登記が入れられる制度、これが「みなし解散制度」です。

どのくらいの期間登記されないと、みなし解散制度の適用を受けるかというと、最後に変更登記をしてから12年が経過した場合です。

なぜ12年なのかというと、役員の任期が定款に定めれば最長10年まで認められるためです。

本来は変更後2週間以内に登記をする必要がありますが、変更後2年間は猶予するから期間内に役員変更の登記を申請するよう会社に促しているものと思われます。

その期間に登記をしないのなら、会社の活動していないものとみなされ、所定の手続をした上でみなし解散登記がされるのです。

なので、会社の活動をし、所定期間内に登記をしている会社であれば、「みなし解散」制度とは無縁の話です。

株式会社や一般社団法人のみなし解散制度とは?

株式会社や一般社団法人は、一定期間登記をしていないと、法務局から事業を継続しているかの通知が来ます。

これは、役員に任期があり、登記をしていないと本当にこの会社運営しているのかわからないからです。

その通知に返答しないと、法務局で職権で解散登記がされてしまいます。

さらに放置してしまうと、その法人はないものとみなされ、法人が消えてしまいます。

印鑑証明書を取得しようとしたら取れなかったので調べてみたらみなし解散の登記がされていたというケースが結構あります。

なので、みなし解散がされてしまったら一大事だということになります。

特例有限会社や合同会社にはみなし解散制度がない!

ところで、みなし解散制度が適用されるのは、株式会社と一般社団法人です。

合同会社や特例有限会社には適用されません。

 さらに、特例有限会社の取締役や合同会社の業務執行社員の任期は法律で規定されていません。

なので、設立登記をしたら、極端なこと放ったらかしでもいいのです。

一見メリットのように思えますが、信用面からデメリットにも作用します。

合同会社や特例有限会社にもみなし解散制度を設けるべき

私は、合同会社や特例有限会社にみなし解散制度を設けるべきではないかと思っています。

特例有限会社や合同会社で休眠状態で放置していると、ペーパーカンパニーの温存につながり、社会の実益にあっていないからです。

そうなると、会社設立後、登記する事項がない限り、登記しなくてもいいわけで、実際に事業をしているかは登記簿からは判別つかないことになります。

そんな会社をいつまでも残しておく意味はあるのでしょうか。

また、ずっと放置しているがために後日登記手続きをしようとすると、登記手続が複雑になり、かえって混乱を招く要因になります。

そのことを考慮し、みなし解散制度を合同会社や特例有限会社にも設けるべきだと考えます。

さらに、国の政策で会社設立登記を簡単にする傾向にあります。

私は、合同会社のペーパーカンパニー化が進むことを懸念しています。

今後、副業・複業で設立費用が安い合同会社の設立が増えてくると思われます。

副業で合同会社を設立したのはいいが、放置し続けるリスクも生まれてくる時代になりそうな気がします。

設立して、経営困難となりたたむ費用がかかるので放置…という問題も出てくるでしょう。

私は合同会社の場合、設立登記をしてから12年経過した場合、特例有限会社の場合は20年程度経過した際に何も登記をしていなければ通知を出し、それに反応しなかった会社はみなし解散の手続きに乗っかればいいと思っています。

合同会社や特例有限会社の役員に任期規定を!

以上のことから、みなし解散制度適用とあわせて、合同会社や特例有限会社の役員に任期規定を設けるべきではないでしょうか。

一般社団法人でも任期規定があり、合同会社や特例有限会社に任期規定がないのはおかしいと考えます。

また、みなし解散制度を設けることで会社設立の乱立も防ぐことも可能です。

今は特例有限会社は設立できませんが、意味のない合同会社の設立を出来なくする抑制もあるでしょう。

まとめ

登記申請をすることによって、現在の会社の様子が分かる、会社は社会的責任を果たす義務があります。

そのためにも、合同会社、特例有限会社の役員に任期規定を設けること、みなし解散制度を設けることは一理あるように思いますがいかがでしょうか。

今回は
『特例有限会社や合同会社の役員にも任期規定やみなし解散制度を設けるべきでは?』
に関する内容でした。

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参考書籍

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司法書士・行政書士 桐ケ谷 淳一

鉄道(乗り鉄・撮り鉄両方)と麻婆豆腐・担々麺をこよなく愛する司法書士・行政書士です。
ひとり会社設立、副業・複業、小さな会社の企業法務の分野を得意としています。
1977年1月 東京生まれ東京育ち
2000年 日本大学法学部法律学科卒業
2004年 司法書士試験合格
2005年 行政書士試験合格
2007年 東京都江戸川区葛西駅前にて司法書士事務所・行政書士事務所を開業
2017年 平成27・28年施行改正会社法・商業登記規則、役員変更登記の注意点(株式会社レガシィから)のCD・DVDを出しました。

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