募集株式の発行 第三者割当による募集株式の「割当決議」に関する問題点とは?【3分で読める江戸川区葛西司法書士の企業法務】

東京都江戸川区葛西駅前
会社設立などの企業法務・相続専門
司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一です。


はじめに


今回は商業登記についての
マニアック論点のことを書きます。


募集株式の第三者割当決議で、
取締役会非設置会社で、株式の割当てを
行う場合についての論点です。

 

第三者割当による募集株式の発行の手続の流れ(原則)


この論点を説明する前に、
まずは、第三者割当による募集株式の
発行の流れ
を確認しておきます。


今回は取締役会非設置会社
想定しています。

(募集株式の手続の流れ(原則))

株主総会の特別決議
   ↓
募集株式の引受けの申込みをしようとするものの通知
   ↓
募集株式の引受けの申込み
   ↓
募集株式の割当の決定
(取締役会非設置会社の場合は株主総会特別決議)
   ↓
募集株式の割当ての通知
   ↓
出資の履行
   ↓
登記申請
(払込・給付期間(又は払込・給付期間の末日から2週間以内)


まずはこの流れを押さえておいてください。

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募集事項決議と割当決議は別個のもの


会社法では、第三者割当の場合、
「募集事項決定」と「割当ての決定」は
別個の手続
となっています。


なので、株主総会で募集事項を決定し、
その後株式の申し込みがあり、
株式申込みがあったあとでないと、
株式割当て決議はできないことに
一応はなります。


しかし、募集事項の決定段階で、すでに
申込者及び株式を引き受ける人が
確定していることも多々あります。


そこで、募集事項を決定する際に、
すでに分かっている申込人による申込みが
あったことを条件として、募集株式の
募集事項決定の際の株主総会で、
株式割当決議を行うことが可能
です。


法務省の職員の方のブログを見ていると、
補正事例で
「申込みがあったことを条件として
株式割り当てる」

旨の記載がないと補正の対象となる
ということが書かれていました。


つまり、募集株式決定事項を第1号議案とし、
割当決議を第2号議案とした場合、
その第2号議案に「申込みを条件として
割り当てる」というのがないとダメです

という趣旨です。


これについては、
司法書士の金子先生や
内藤先生のブログでも意見がでています。


個人的な意見ですが、募集株式決定事項に
割当方法が書いてあれば、その人に
割り当てることが明らかであり、
割当決議に際し、わざわざ「条件」という
文言がないだけで補正とするのは
いかがなものか
と思います。


理由は、すでに割当方法が募集株式の
決定事項から明らかであり、
2号議案の割当て決議は
正直会社法上の手続にのっとり
行われているに過ぎないからです。


もし、募集株式の決定事項に
割当方法がなければ、「条件として
割り当てる」旨の文言がなければ、補正と
なると言われても仕方ないかもしれません。

写真 2015-06-23 14 03 31

まとめ


正直、商業登記を担当する法務局の職員も
少ないようで、専門性を兼ね備えた職員が
減っているのは問題ではあります。


そこは、法務省の方で対策をきちんと
取らないといけないと思います。


私も、法務局の判断を困らせるような
補正事項を減らす努力はしないといけない
と反省しつつ、業務を邁進します。


さて、取締役会非設置会社の募集株式の
割当決議についてですが、
法務局で判断されている以上、

「申し込みがあることを条件として
割り当てる」

がないと、今後は補正の対象になると
思います。


とはいっても、議事録から条件で決議を
していることが読み取れれば、上記の記載
がなくても問題ないように思えるのですが
いかがでしょうか。


参考投稿


募集株式の発行(取締役会非設置・第三者割当)に係る条件付決議の記載について(法務省職員の方と思われるブログ)

ESG法務研究会(金子先生のブログより)

募集株式の発行手続における二段階の決議と条件付割当決議(内藤先生のブログより)


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司法書士・行政書士 桐ケ谷 淳一

鉄道(乗り鉄・撮り鉄両方)と麻婆豆腐・担々麺をこよなく愛する司法書士・行政書士です。
ひとり会社設立、副業・複業、小さな会社の企業法務の分野を得意としています。
1977年1月 東京生まれ東京育ち
2000年 日本大学法学部法律学科卒業
2004年 司法書士試験合格
2005年 行政書士試験合格
2007年 東京都江戸川区葛西駅前にて司法書士事務所・行政書士事務所を開業
2017年 平成27・28年施行改正会社法・商業登記規則、役員変更登記の注意点(株式会社レガシィから)のCD・DVDを出しました。

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